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Glyphsでフォントを作ろう

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Glyphsでフォントを作ろう 第12回

前回から5か月ほど更新が滞ってしまったが気にせずGOGO。 「A」を作ろう基本形の斜線部分は「v」と同様だ。 「v」からコピペしてきて、ひっくり返して大文字の高さまで引き伸ばすやり方が手っ取り早いだろう。 それが終わったら、前回の「H」にあわせて少し太みと文字幅を微調整しよう。「v」からコピペすると「H」と比べて少々細く見えるので少しだけ太らせ、文字幅も「H」と見た目同じぐらいにしておけば調和がとれるはずだ。 後は「H」の横線を持ってくれば完成だ。 配置する位置によって雰

Glyphsでフォントを作ろう 第11回

いよいよ今回から大文字の製作に進む。 順序よく「A」から進めていきたいところだが、小文字の場合と同様に基準になる文字から進めた方がバランスを取りやすい。 一般的なデザインの場合、「H」をよく使う。 左右両端が直線で基準にしやすいのと、斜め線が入る「N」よりも構造が単純で調整がしやすいからだ。 曲線部の基準には小文字と同じように「O」を使う。 今回はこの2文字を中心に、ささっと仕上げられる7文字を作成していく。 では早速、 「H」を作ろう 今回のようなサンセリフの場合、

Glyphsでフォントを作ろう 第10回

さあ、小文字を仕上げよう。今回調整するのは残りの7文字だ。 「t」を調整しようまず横線の太さを「f」と揃える。 そして下の曲線部分を調整する。ポイントを動かして曲線のRを小さくし、下部の頂点を少しだけ左に移動し縦線に近づけよう。 こうすることで接地点が視覚的な重心に近づき安定感が増す。また先端部を少し下げて下面を扁平気味にしよう。これでさらに安定して見える。 ついでに並行して、「f」にあわせる形で文字幅も広げておこう。 「u」を調整しよう例のごとく、先に修正した「n」

Glyphsでフォントを作ろう 第9回

さて、引き続き微調整を進めていこう。 今回調整するのは下の7文字だ。 「a」を調整しよう視覚的なバランスをとるため、「n」に合わせてこちらも幅を広げる。右下の先端部には前回説明した「n」や「b」と同様の処理を加えておこう。 ちなみに、「a」の下半分の丸い部分についてはあえて幾何学的にしていない。この部分を真円にしようとするとどうしても字幅や形状が不自然になるし、文字列として並べた場合も悪目立ちしてしまう。 とはいえこの辺りは目的次第で、明確な意図を持ってそういった特徴を

Glyphsでフォントを作ろう 第8回

2ヶ月ぶりの再開となってしまった。随分と間が空いてしまって申し訳ない。 さて、前回で一通り小文字が揃ったわけだが、大文字に進む前に一旦振り返って細かい視覚調整を施していこう。ある意味ここからが本当の意味でのフォント製作だ。 まずは出来上がった小文字を一通り並べてみて、気になる部分をピックアップする。 先に断っておくと、ここから先の内容は個人の好みや主観によるところも大きいので参考程度に見てもらえれば幸いだ。 今回調整するのはこの5文字。 (「b」は「d」「p」「q」に

Glyphsでフォントを作ろう 第7回

間が空いてしまったが、気を取り直して残り4文字を作り上げよう。 「v」を作ろう 「i」あたりから直線をコピーしてきて、適度に傾け(文字通り)V字に接合して不要な部分をカット。 で完成するかに思えるが、残念ながらそこまで単純にはいかない。下のイメージを見ていただきたい。 ○で囲ったV字の根元が部分が少々黒く潰れて見えるだろう。 これもまた錯覚の一種で、ある程度の太さの直線を鋭角でつなげると、どうしてもこう見えてしまう。 なのでこの部分も今までと同じように視覚補正が必要にな

Glyphsでフォントを作ろう 第6回

ちょっと間隔が空いてしまった。いかんいかん。 「k」を作ろう 「k」にはいくつかパターンがあるが、今回は比較的シンプルなデザインで作業を進める。 注意すべき点は「く」の字の交点の位置と線の太さ、そして線の長さだ。 まず交点の位置について。 これはxハイトの中心よりも若干上に持っていこう。その方が視覚的に安定する。 次に太さについて。 斜線は若干末広がりにした方が視覚的に安定して見える。なので「k」の場合は「く」の交点部分をほんの少し絞ろう。 純粋な直線にすると、交点部

Glyphsでフォントを作ろう 第5回

今日は10文字がんばるぞい。 「a」を作ろう 「t」と同じように「n」からアーチ部分をコピーしてこよう。そしてこれまた同じように先端部分を程よいところでスライスツールでカット。 続いて下半分の丸い部分。 正直言うとこの部分の説明がかなり難しい。少々分かりにくいかもしれないが、下のイメージのように、丸ではなく極限まで角を滑らかにした多角形と捉えもらうとバランスが取りやすいかもしれない。 また、ド定番だが(自分のイメージにあった)フォントを見つけてきて手本にするのも有効だ。

Glyphsでフォントを作ろう 第4回

さて「o」の続き。 「t」を作ろう まず「n」からアーチ部分のパスをまるっとコピペしよう。そして上下に反転し、アーチ部分の途中をスライスツールでカットする。そこに長方形ツールで横線を追加すれば、「t」の完成だ。 微調整として、スライスツールで切った部分はそのままだと広がり気味に見えるので、ちょっと内巻きにするとバランスが良くなる。 また、追加した横線は「o」の上下部分よりも若干細くした方が視覚的にちょうどよく見える。 よし、今回は手早く終わった。 「e」を作ろう 今度

Glyphsでフォントを作ろう 第3回

第3回にしてようやく小文字の作成に入る。看板要素の登場が少々遅くなった気がするが気にしない気にしない。 はじめに 今回(以降も含む)は説明を分かりやすくするため、シンプルなサンセリフフォントの作成に沿って解説していく。 また、手っ取り早くアルファベット26文字を揃えることを優先するのでGlyphsの細かい操作方法については省略させていただく。 と言っても、アウトライン編集に限ればだいたいIllustratorと同じなので触っているうちに感覚はつかめるだろう。 具体的な操作

Glyphsでフォントを作ろう 第2回

さて第2回。 今回はフォントとしての体裁を整えていく。 必要な情報を入力しよう 前回の最後でフォントファイルを一旦出力した際、フォント名が「New Font」になっていたが、これはGlyphsの用意したデフォルトの名前だ。
ローカル環境で使う分には問題ないが、せっかくなのでオリジナルの名前にしてみよう。 まず、ウィンドウ左上の [ i ] ボタンをクリックするか、 [cmd + i] でフォント情報ウィンドウを表示する。 初期状態だと上のようにファミリー名以外は空白にな

Glyphsでフォントを作ろう 第1回

noteをはじめてみる。 何を書こうか少々迷ったが、フォント作成ソフト「Glyphs」を使ったオリジナル欧文フォントの作成方法を書いていこうと思う。 一度に書くとしんどいので何回かに分けて書いていくつもり。まずこの第一回ではつかみの部分から。 ざっくりとした説明になるので、詳しい操作方法については取扱説明書になるGlyphsハンドブックを参照してほしい(日本語版あり)。 なお、Glyphsの扱いはほとんど我流で通してきたので、間違っていたり効率の悪いやり方をしている場合